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日外会誌. 102(11): 798-804, 2001


特集

肝臓外科における血行再建

4.肝臓移植における門脈・肝動脈再建手技

1) 京都大学大学院 移植外科
2) 倉敷中央病院 外科

江川 裕人1) , 阿曽沼 克弘2) , 阪本 靖介1) , 岩崎 稔1) , 金 一徳1) , 田中 紘一1)

I.内容要旨
肝移植における門脈および動脈再建においてグラフト側は血管の分岐形式,径のサイズと長さおよびグラフト摘出時の血管損傷が術式に影響する.一方,レシピエント側は移植適応となった肝病変によって病的変化が存在する.したがって再建手技そのものも重要ではあるが,それまでに,ドナー手術およびレシピエント手術で,吻合に適する門脈と動脈を準備することが血管吻合成否のキーポイントとなる.門脈再建は,可及的大きな吻合口を形成し,十分なレシピエントの門脈血流を確保しなければならない.しかしながら,すでに門脈が硬化性変化や狭小化している症例さらには陣旧性の門脈血栓がある場合は,Branchpatch法,門脈形成術,血管グラフトによる門脈置換やパッチ法を用いて再建しなければならない.したがって様々のinnovation techniquesをいつでも使えるようにしておかねばならない.肝動脈吻合も同様に,吻合に適する動脈の選択と口径差の克服,質的変化のあるレシピエント動脈の扱いが重要となる.口径3mm以下の動脈吻合は,顕微鏡下に端端吻合を行うことを基本にしている.両端に固定縫合糸をかけた後,片面づつ,untiedsuture techniqueを用いて吻合する.吻合血管の口径差や距離が問題となる場合は,断端形成(Fish mouth法,Funnelization法)や自家動脈グラフトで対処する.

キーワード
肝移植, 門脈再建, 肝動脈再建, 血管形成術, マイクロサジェリー


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