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日外会誌. 102(11): 789-793, 2001


特集

肝臓外科における血行再建

2.血管外科の基本操作

千葉大学大学院 臓器制御外科学

大塚 将之 , 宮崎 勝 , 伊藤 博 , 木村 文夫 , 清水 宏明 , 中島 伸之

I.内容要旨
血管外科における血行再建は,まず対象血管の剥離と露出にはじまり一時的血行遮断,(病変部の切除),血管縫合・吻合,血流の再開というプロセスを踏む.血管の剥離・露出は病変部のみではなく,十分にその遠位・近位側の健常部分まで行っておくことがその後の操作の上で重要である.一時的血行遮断は,それ用に開発された血管鉗子を用いて行うが,その際引き起こされる阻血障害あるいは血流再開後の再灌流障害に対する対策も必要となる.血管縫合・吻合は外翻の全層一層縫合を基本とし,単純連続縫合が多くの場合用いられるが,小動脈では,狭窄を防ぐために単純結節縫合で吻合を行う.血管部分切除後の縫合では狭窄を起こさないようにするための工夫,たとえば横縫合,が必要になることがあり,血管吻合では,吻合血管のねじれ,口径差,狭窄,過緊張に対する予防法・対策を知ることが重要である.血行再建前の十分なプランニング,口径差を少なくするための血管断端の形成,縫合糸の結紮の仕方,グラフトの躊躇なき使用といったことを十分に理解すべきである.血栓形成の予防として,topical heparinizationが簡便で有用であるが,肝臓移植後など場合によっては全身的な抗凝固療法が必要になることもある.

キーワード
血管外科, 血行再建, 血管縫合, 吻合法


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