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日外会誌. 102(10): 749-752, 2001


特集

胃癌治療の最近の進歩と今後の問題点

4.早期胃癌に対する腹腔鏡下手術の適応と限界:根治性をいかにして確保するか

大分医科大学 第1外科

北野 正剛 , 安田 一弘 , 白石 憲男 , 安達 洋祐

I.内容要旨
胃癌腹腔鏡手術においても開腹術と同様に根治性を確保するためには病変の正確な診断と病変に応じたリンパ節郭清を適切な手技を用いて確実に行うことが大切である.通常,侵襲の軽減と根治性の追求とは相反するものである.すなわち低侵襲性と術後QOLの改善を目指して局所切除を選んだ場合には転移リンパ節が残される危険性も皆無ではない.一方,腹腔鏡下であっても胃切除D2郭清が可能ではあるが,熟練を要し,長時間の手術となる.すなわち,根治を得るための侵襲と手術時間とのバランスの観点から,現在多くの施設で採用されている術式は腹腔鏡補助下幽門側胃切除術(LADG)である. LADGでは早期胃癌に対するD1+αのリンパ節郭清に要する手術時間として容認範囲である4~5時間で終了することが支持されている理由の一つである.現時点では,腹腔鏡下にD2郭清を行なうには,手術時間の延長を覚悟するか,切開創を7cm程度と広げハンドアシストをとるかのいずれかの選択となる.このいずれをも回避しつつ根治性を確保するには,さらなる手技の工夫と習熟および新たな機器の開発とその応用が必要であると考えている.また,より一層の低侵襲性を目指すには局所切除と合理的なリンパ節郭清で根治性を保とうとするsentinel node navigation surgeryの確立が急務である.

キーワード
早期胃癌, リンパ節転移, 腹腔鏡下手術, 腹腔鏡補助下幽門側胃切除術


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