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日外会誌. 102(10): 745-748, 2001


特集

胃癌治療の最近の進歩と今後の問題点

3.早期胃癌に対する内視鏡的胃粘膜切除術

1) 社会保険中央総合病院 内科
2) 社会保険中央総合病院 病理

浜田 勉1) , 近藤 健司1) , 斎藤 聡1) , 北村 成大2)

I.内容要旨
内視鏡的粘膜切除(EMR)を外科的切除が可能な早期胃癌357例389病変に施行し,その切除方法と遺残再発率の成績を示し,経過観察の時期さらに適応拡大の問題点について述べた.EMRに際して合併症の頻度,癌遺残やリンパ節転移の頻度などについても患者のインフォームドコンセントを得ることが必要となる.切除方法別の遺残再発率をみると一括切除のみでは15.1%であったが一括切除と分割切除を症例に応じて選択することにより8.0%に低下した.分割切除では術前のマーキングを行い組織を確実に回収する必要があった.また,EMR後遺残再発は全体の80.5%が1年以内に確認され,この期間の経過観察が重要と考えられた.適応拡大からみると粘膜内癌では病変の大きさが40mmまで切除可能で, sm浸潤例では粘膜筋板からの距離が500μm以内の癌浸潤であれば問題はないが,500μm以上であれば外科的手術を検討する必要があった.未分化型癌ではsm浸潤率が21.4%と高率であり深達度診断の難しさが残った.

キーワード
早期胃癌, 内視鏡的粘膜切除, 適応拡大, インフォームドコンセント, 遺残再発

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