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日外会誌. 102(9): 659-662, 2001


特集

頸部食道再建術

8.発声を考慮した頸部食道再建術

川崎市立井田病院 外科

川原 英之 , 立松 秀樹 , 山高 浩一 , 櫻井 孝志 , 山本 貴幸

I.内容要旨
咽頭喉頭食道切除が行われた場合の音声再建手術につき概説した.喉摘単独の場合とは異なり下咽頭頸部食道が切除されるため,1)手術侵襲が大きい,2)シャント材として食道壁を利用する術式が行えない,3)気管断端の血行障害を来たしやすい,4)咽頭収縮筋が失われるため新声門の形成が難しい,など音声再建に不利な条件がある.他方,音声再建手術に求められる条件としては,1)音声再建が手術の根治性に影響を与えない,2)シャントを介しての誤嚥を防止する機構を有する,3)放射線治療や化学療法が必要な症例にも適応できる,4)発声の習得が容易である,などである.わが国では,気管胃管シャント法,ダブルTEGシャント法,エレファント型シャン法, tracheojejunalシャント法, tracheoileocecalシャント法などが行われ,音声再獲得については比較的良好な成績が報告されている.手術適応については必ずしも一定の見解はなく,術前に正確な情報の提供とinformed consentが特に重要であると考える.

キーワード
喉頭全摘, 頸部食道再建, 代用音声, 音声再建, 気管食道瘻


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