[書誌情報] [全文PDF] (5280KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 102(9): 625-631, 2001


特集

頸部食道再建術

2.マイクロサ一ジャリ一による血行再建術の要点

東京大学 医学部形成外科

多久嶋 亮彦 , 波利井 清紀 , 朝戸 裕貴

I.内容要旨
頸部食道の再建方法としては,胃管,空腸,結腸の有茎挙上術や,遊離前腕皮弁,遊離空腸移植術などが広く行われている.この際,血管柄付き遊離組織移植術においては勿論のこと,superchargeにおいてもマイクロサージャリーの技術を用いた血管吻合は手術の成否を左右する重要な手技である.この血管吻合を成功に導くためには,吻合自体の技術だけでなく,吻合血管の選択,セットアップ,術後のモニタリングなどが大きな要素を占める.本稿では,頸部食道再建における,マイクロサージャリーによる血行再建術の要点に関して述べる.
再建材の吻合血管は,血管吻合をより簡単にするために,できるだけ長く採取することが重要であり,遊離皮弁だけでなく,superchargeの際にも動静脈両方吻合することが望ましい.移植床血管の準備としては,遊離空腸や後縦隔経路で胃管などが挙上された場合は,頸横動脈あるいは上甲状腺動脈と内頸静脈を使用することが多い.そして,胸骨前経路で腸管を有茎で挙上した場合は,内胸動静脈を移植床血管として用いる.二次再建においては,瘢痕組織内,あるいは放射線照射野内の血管は,血栓形成の危険性が高く,できるだけ避けたい.正常組織に移植床血管を求めるか,あるいは従来の大胸筋皮弁などの方法を考えるべきである.血管吻合後の閉創を含めた手術操作では,吻合部に圧迫や緊張が加わったりしないように注意する.術後は,遊離皮弁においてはドップラー血流計などを用いた管理を行うが,胃・結腸のsuperchargeにおけるモニタリングは,正確性に欠けるため,現在行っていない.

キーワード
食道, 再建, マイクロサージャリー, 血管吻合, supercharge

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。