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日外会誌. 102(7): 517-520, 2001


特集

肺癌の手術適応の再検討

5.TNM Stagingとその評価M因子より見た手術適応

慶應義塾大学 医学部外科

堀之内 宏久 , 小林 紘一

I.内容要旨
M因子すなわち他臓器転移あるいは他肺葉内肺転移を伴う肺癌症例の予後については一まとめにして論じられる事が多く,その予後は非常に限られたものである.
肺内転移の取り扱いをめぐっては変遷があり,1999年に改定された肺癌取扱い規約第5版で,他肺葉肺内転移を含む遠隔転移を有する症例をM1とすることになった.2000年6月までに原発性肺癌にて手術を行い,術後病理学的検索によってpm2と診断された16例について検討すると,5年生存率は14%であった.低悪性度症例を除くと,MSTが11カ月(83日から518日)であり,手術のみで長期生存を得ることは困難であると考えられた.pm2症例の多くは縦隔へのリンパ節進展を有する症例が多く,切除単独では良好な予後は認められない.pm2因子については,高分化型腺癌で他肺葉内転移を有する症例,及び組織学的に確定診断の困難なGGAを有する症例を病期分類でどのように取り扱うかという問題も含めて,症例を蓄積して検討すべきである.
遠隔転移を有する肺癌症例については脳転移を含めその予後は悪く,外科的治療の対象とならない症例が多いが,長期生存の得られるあるいはQOLの向上する症例もあるので,慎重に適応を決定する必要がある.

キーワード
肺癌, 転移, 外科治療, 肺内転移, 病期分類


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