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日外会誌. 102(7): 502-506, 2001


特集

肺癌の手術適応の再検討

2.UICC,TNM分類の問題点

国立がんセンター中央病院 胸部外科

土屋 了介

I.内容要旨
新しいTNM分類(1997年,第5版)1)2),は概ね好印象を持ってわが国の外科医に受け入れられている.しかしながら,詳細な点ではいくつかの間題が指摘されている.わが国では,従来から中枢気管支の肺癌よりも末梢肺野に発生する肺癌が多かったが,近年,急速に末梢型の小型肺癌が増加している.したがって,末梢肺野の肺癌に関連してさらに細分した分類を求める意見がある.TNM分類はAJCC(American Joint Committee on Cancer)と日本TNM分類委員会(JJC:The Japanese Joint Committee)の意見が基礎となっており,これらは1970年代から最近までの切除症例によるデータが用いられている.しかし,この期間にCT検査や超音波検査などの診断機器が出現し,それに伴う診断学の進歩は著しく術前の病期診断は大きく変貌している.したがって,手術の適応を判断するには,最近の症例で術前の臨床病期に基づく治療成績を基準にする必要がある.また,手術の適応は宿主(患者),肺癌の性状,術者(施設・チームも含め)の要素の組み合わせによって決定される.したがって,TNM分類による病期(stage)のみで全ての手術適応が決定されることがあってはならない.

キーワード
TNM 分類, 肺癌, 手術適応, 根治性, 遺残腫瘍

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