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日外会誌. 102(6): 497-500, 2001


特集

リンパ節の癌転移病態と至適郭清

9.大腸癌における至適リンパ節郭清

東海大学 医学部外科

貞廣 荘太郎 , 石川 健二 , 鈴木 俊之 , 向山 小百合 , 田中 洋一 , 安田 聖栄 , 田島 知郎 , 幕内 博康

I.内容要旨
大腸癌における適切なリンパ節郭清について結腸癌と直腸癌に分けて述べた.結腸癌では,腸管軸方向は旁結腸,結腸壁在リンパ節への転移陽性リンパ節の分布範囲の検討から,腫瘍縁から10cm程度離して腸管を切除すれば良く,中枢方向は第2群に分類される主幹動脈に沿った中間リンパ節までの郭清が必要である.直腸癌では,上方向は主たる転移経路であり,第2群リンパ節である下腸間膜動脈の左結腸動脈分岐部までの郭清が必要である.内腸骨血管に沿う側方向への転移頻度は約10%であり,転移陽性例では郭清を施行しても局所再発率は高率で予後は不良である.しかし内腸骨血管の合併切除により予後が改善したとの報告があり,側方郭清には適応症例をいかに識別するかの課題がある.壁深達度がss, al以深症例では,腫瘍下縁から肛門側のmesorectum内のリンパ節への転移が局所再発の原因として重要であり,肛門側のmesorectumはRaでは4~5cmまで, Rbではすべてを切除すべきである.術後の排尿,性機能障害を最小限度にとどめようとする自律神経温存手術では,温存した自律神経組織中に小さなリンパ節が残存するため,腫瘍の占居部位や壁深達度により温存する神経の範囲ならびにリンパ節郭清範囲をどのように組み合わせるかが今後の課題である.

キーワード
大腸癌, リンパ節郭清, 自律神経温存手術, Total Mesorectal Excision[TME]

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