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日外会誌. 102(6): 490-496, 2001


特集

リンパ節の癌転移病態と至適郭清

8.胆道癌における至適リンパ節郭清

三重大学 医学部第1外科

田端 正己 , 川原田 嘉文

I.内容要旨
自験胆嚢癌切除86例ならびに胆管癌切除139例(肝門部87例,中部22例,下部30例)のリンパ節転移状況やリンパ節転移と予後との関連を検索し,胆道癌における至適リンパ節郭清について検討した.胆嚢癌では62例(72.1%)に転移が認められた.深達度別ではm,mpの早期癌(9例)には転移例はなかったが, ss(13例)では23.1%に転移を認め,se,si(64例)では転移率は92.2%に達した.ss以上の進行癌のうち,5年以上生存例は4例あり,うち3例はn0, 1例は12p2(n2)のみの転移であった.胆管癌139例では58例(41.7%)に転移があり,深達度別では,m, fmの早期癌(15例)には転移例はなく.ss(39例)では17.9%,se,si(85例)では60.0%と増加した.進行胆管癌(ss以上)切除後5年以上生存例は24例で,n0 19例,n1 4例,n2 1例であったが,リンパ節転移陽性 5例中,13a(+)であった下部の2例を除き,他の転移部位はいずれも肝十二指腸間膜内リンパ節に限局していた.
すなわち,長期生存が期待できる胆道癌は肝十二指腸間膜内に転移が限局しているものであり,かかる症例では,間膜内の12番リンパ節(h,c,a1,a2,b1,b2,p1,p2)郭清に加え,より遠位で,かつ左右胆道リンパ路のkey nodeである8番ならびに13a郭清を併施することが,至適リンパ節郭清に相当するものと考えられた.

キーワード
胆囊癌, 肝門部胆管癌, 中・下部胆管癌, リンパ節転移, 長期予後

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