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日外会誌. 102(6): 435-439, 2001


特集

リンパ節の癌転移病態と至適郭清

2.リンパ節の癌転移病態
1)リンパ動態学の視点から

信州大学大学院 医学研究科臓器移植細胞工学医科学系(独立専攻)
信州大学 医学部生理学第1講座

大橋 俊夫

I.内容要旨
癌細胞のリンパ行性転移やsentinelリンパ節の臨床的意義を再評価する上で知っておくべきリンパ動態学の基本概念と最近の新知見をわかりやすく解説した.すなわち癌組織の組織液は低酸素,低pHであり,この物理化学的特性が低酸素環境で生理機能を営んでいるリンパ管・リンパ節の働きを修飾し,癌細胞の転移に影響を及ぼす可能性の存在することを示した.同時にリンパ管の胎生期発生に関与するVEGF受容体3のリガンドVEGF-Cが癌組織のリンパ管新生や癌のリンパ行性転移にも関与していることを紹介した.さらに壁平滑筋含量の少ない集合リンパ管には極めて顕著な再生能力があり,このリンパ管再生現象にもリンパ管内皮細胞に特異的に発現しているVEGF受容体3の寄与していることを示した.

キーワード
リンパ循環, リンパ行性癌転移, 低酸素, 一酸化窒素, リンパ管新生


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