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日外会誌. 102(5): 417-420, 2001


症例報告

手術後に血中サイログロブリン値が極めて高値を示した症例
-甲状腺濾胞癌の再発転移か否か-

隈病院 外科

小林 薫 , 横沢 保 , 松塚 文夫 , 宮内 昭 , 隈 寛二

I.内容要旨
症例は67歳の女性.甲状腺濾胞癌のために甲状腺右葉切除を行った.手術より1年6カ月後に血中サイログロブリン値が極めて高値を示した.遠隔転移,特に骨転移を疑い,残っていた甲状腺左葉切除を行った.左葉内にはリンパ球浸潤のみがあり,濾胞癌の再発はなかった.血中サイログロブリン値は感度以下に低下した.131Iの全身シンチグラフィーを行ったが異常集積は認めなかった.初回手術後の血中サイログロブリン値高値の原因は濾胞癌によるものではなく無痛性甲状腺炎によるものであると推察した.血中サイログロブリン値の高値の原因を探るときには甲状腺腫瘍,甲状腺癌以外の原因も考慮に入れるべきである.

キーワード
甲状腺濾胞癌, サイログロブリン, 無痛性甲状腺炎

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