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日外会誌. 102(5): 409-411, 2001


特集

大腸癌肝転移に対する治療戦略-基礎から臨床へ-

9.肝移植の可能性

信州大学 医学部第1外科

浦田 浩一 , 川崎 誠治

I.内容要旨
欧米では,1970年代から大腸癌肝転移も含めた転移性肝腫瘍症例においても肝移植は治療法として導入された.しかしながら,カルチノイドや神経内分泌系腫瘍症例を除き,術後成績は極めて悪く,報告されている長期生存例はわずかである.肝移植後に化学療法・全身の放射線照射・自己骨髄移植を加えても再発率は高い.脳死ドナーの不足の現状からは,現時点では,大腸癌肝転移に対する肝移植は正当化されないと考えられる.一方カルチノイドや神経内分泌系腫瘍の肝転移では,移植後も生存率は大腸癌肝転移症例より良好であり,根治目的でも,症状改善目的でも欧米では症例により肝移植が正当化されている.

キーワード
大腸癌肝転移, 肝移植


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