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日外会誌. 102(5): 398-402, 2001


特集

大腸癌肝転移に対する治療戦略-基礎から臨床へ-

7.肝転移に対する動注療法の適応と限界

東京都立駒込病院 外科

森 武生 , 高橋 慶一 , 大植 雅之 , 山口 達郎

I.内容要旨
大腸癌同時性肝転移に対し,肝切除を行った症例群の2年生存率は73%また5年生存率は35%であり,外科的切除が最も有効な治療法であることは明らかである.しかし多発転移で切除不能と判断された症例群に対する5FUの250mg/body/dayの24時間持続肝動注療法は2年生存率24%,3年生存率9%,50%生存日数は391日と,動注を行わなかった群の2年生存率12.5%,50%生存日数195日に比べて有意に延長していた.これらの動注群のうちPRやCRを示した症例に対し,動注後にさらに肝切除を加える治療を積極的に行っているが,現在までに3年生存率38%であり,5年治癒例も観察されており,切除不能多発肝転移例の予後絶対不良という概念に対し根治的治療が可能であるとの発想の転換であり,意義が大きい.

キーワード
大腸癌肝転移, 持続肝動注療法, 5FU, 動注後肝切


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