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日外会誌. 102(4): 342-347, 2001


特集

弁膜症手術の最近の動向

9.小児における弁膜症の治療
“弁形成ができない時にどうするか?”

1) 福岡市立こども病院 心臓血管外科
2) 九州大学 医学部心臓外科

塩川 祐一1) , 角 秀秋1) , 安井 久喬2)

I.内容要旨
近年いくつかの新しい術式の導入により,小児の弁疾患に対する外科治療成績は大きく改善されつつある.ひとつは僧帽弁逸脱病変に対するE-PTFE糸を用いた人工腱索置換術である.本術式により僧帽弁形成術の適応が広がり,一部の人工弁置換術の回避が可能となった.もうひとつはRoss手術であり,狭小弁輪のために人工弁置換術が難しかった大動脈弁疾患に対しても弁置換を可能にした.このような背景にもかかわらず,弁形成術が極めて困難な症例では,場合によっては単心室治療に変換するオプションもあるが,多くは人工弁による弁置換術を選択しなければならない.小児の人工弁置換術ではサイズのミスマッチが大きな問題となり,これを解消するためにさまざまな術式の工夫が必要となる.しかし現在入手可能な人工弁にはサイズと機能の限界があり,今後更なる術式の工夫と,より生理的な素材を用いた人工弁の開発が望まれる.

キーワード
先天性弁膜症, 人口腱索置換術, Ross 手術, 人口弁置換術, 弁形成術


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