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日外会誌. 102(2): 203-209, 2001


特集

肝膵同時切除術(HPD)をめぐって

3.肝膵同時切除術後の肝非実質細胞を介した肝再生抑制機構
~ラット肝・膵同時切除モデルを用いた実験的検討~

東北大学大学院 消化器外科学分野

鈴木 正徳 , 力山 敏樹 , 海野 倫明 , 内山 哲之 , 及川 昌也 , 松野 正紀

I.内容要旨
ラット肝・膵同時切除(70%肝切除+70%膵切除;以下HPx)モデルを作製し,術後肝再生抑制機構について検討した.再生肝重量・体重比は術後12時間以降70%肝切除(Hx)群に比し有意に低く,LIもピークが48時間に遅延し,かつ低下していた.血糖値,GPT値は全経過で両群間に有意差はなく,膵内分泌系や術後肝障害における変化は軽微と考えられた.門脈血中HGF活性はHPx群でむしろ高い傾向が認められた.HPx術後24時間の肝組織抽出液中にG1期priming抑制作用が,また1~6時間の門脈血清に同促進作用の低下が認められた.肝細胞一非実質細胞の共培養系では,1時間の門脈血清添加によりDNA合成が有意に抑制された.肝・膵同時切除施行時には,術早期のendocrine機構によるG1期priming促進因子低下と肝非実質細胞,とくにKupffer細胞を介したparacrine機構により肝再生が抑制され,増殖の遅延が生ずるという可能性が示唆された.

キーワード
Kupffer cells, liver regeneration, hepatectomy, pancreatectomy

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