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日外会誌. 101(12): 847-854, 2000


特集

臓器別にみた外科手術の変遷・歴史

6. 食道癌手術の変遷・歴史

国際親善総合病院 

掛川 暉夫

I.内容要旨
長足の進歩を遂げた20世紀の食道癌の手術の変遷を,我が国に的を絞り述べた.初めに世界の食道癌手術の流れの概略を述べ,この中で我が国が如何に対応して行ったかを考察した.我が国の食道癌手術の変遷は,先ず昭和の初期の瀬尾,大沢の日本外科学会の宿題報告「食道外科」から始まった黎明期,次に勃興期を迎え,更に戦後の気管内麻酔の導入により勢いが倍加され,また食道疾患研究会の発足と共に食道癌治療に従事するも施設も増加の一途を辿り世界をリードするまでに到った経過と,遂には手術死亡率が全国集計で2%以下にまで減少して来た経由を述べた.また項を改め,各論的意味を含め,食道癌手術で直接死亡率を左右する因子である術後合併症の対策の変遷,更に予後を左右するリンパ節郭清の変遷について述べた.リンパ節郭清については,三領域郭清,拡大郭清の名のもとに怒涛の如く広がって行った経由,その意義等について私見を加えながら経時的に述べた.更に1990年代後半に入り,予後規定因子として問題となって来た転移リンパ節個数に対する対策と変遷,これと関連し重要課題となって来た転移の少ない早期癌の範躊に入る表右型食道癌の治療,リンパ節対策にも言及し,20世紀の「食道手術の変遷・歴史」の稿を終えた.

キーワード
食道癌, 手術, 歴史, 合併症, リンパ節郭清

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