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日外会誌. 101(12): 827-832, 2000


特集

臓器別にみた外科手術の変遷・歴史

3. 心臓(AC-バイパス術)

東京女子医科大学 医学部循環器外科

遠藤 真弘

I.内容要旨
1910年,A. CarrelはCABGを実験動物で試みた.1954年,G. Murrayは実験犬でCABGを成功したが,技術的に大変に困難と記載している.
黎明期:1960年,R. Goetzはタンタリウムリングに内胸動脈を反転し,切開した冠状動脈に挿入し,外側から結紮して初の臨床成功を報告した.V. Kolessov(1964)は手縫いの初の臨床成功を報告.1962~1967年に,D. Sabiston,H. Garrett,D. Kahn,R. Favaloroがそれぞれ独自に自己大伏在静脈を使用したCABGの報告がつづく.
第一期(大伏在静脈期):R. Favaloroの方法は良好な成績で,世界中にあっと云う間に拡がり,約20年間,隆盛がつづく.
第二期(左内胸動脈期):1986年,F. Loopらは左内胸動脈で前下行枝にバイパス群は全て大伏在静脈でバイパスした群に比べ,有意に生存率が良好で,veingraft diseaseが不良の主因である事が判明.1990年には7~8割の心臓外科医は1本の内胸動脈を使用する事がminimam requirementとして定着してきた.
第三期(Complete arterial CABG期):左および右内胸動脈に加え,in situとして右胃大網動脈,遊離グラフトとして,橈骨動脈,下腹壁動脈等も安全に採取される事が証明され,動脈グラフトによる完全冠血行再建術が可能となってきた.

キーワード
CABG, 内胸動脈グラフト, 静脈グラフト


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