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日外会誌. 101(11): 805-808, 2000


症例報告

急性大動脈解離に伴う腹部臓器虚血の1例
~ 腹部臓器血流の新しい指標としての肝静脈血酸素飽和度の意義~

1) 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 救命救急センター
2) 横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター 第1外科

内田 敬二1) , 軽部 義久1) , 井元 清隆2) , 近藤 治郎2) , 戸部 道雄2) , 鈴木 伸一2) , 磯田 晋2) , 橋山 直樹2) , 神 康之2) , 森 琢磨2) , 伊達 康一郎1) , 杉山 貢1) , 高梨 吉則2)

I.内容要旨
73歳女性,胸部下行大動脈にentryを有するB型偽腔開存型急性大動脈解離を発症,造影CTで真腔は狭小化し腹痛を訴えていた.肝静脈血酸素飽和度(Shvo2)を測定すると20%台と低値であり,大動脈造影で横隔膜レベルでの真腔閉塞を認めたため緊急手術をおこなった.ステントグラフト内挿によるentry閉鎖術を施行したところ真腔が拡大し,同時にShvo2は60%以上に改善,術後腹痛は消失した.Shvo2測定は虚血の診断だけでなく,治療効果の判定にも極めて有用であった.Shvo2による腹部臓器虚血の早期診断,ステントグラフト内挿術によるentry閉鎖は,腹部臓器虚血を合併した急性大動脈解離の有用な治療戦略になると思われる.

キーワード
急性大動脈解離, 腹部臓器虚血, 肝静脈血酸素飽和度

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