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日外会誌. 101(8): 568-573, 2000


総説

大腸癌肝転移の治癒的肝切除例に対する予防的肝動注化学療法の役割

NTT 西日本大阪病院 外科

東野 健 , 門田 卓士

I.内容要旨
大腸癌肝転移切除後の予防的肝動注化学療法について主な報告例の方法と成績をまとめ,その役割について考察を加えた.欧米では埋め込み式ポンプを用いたFUDRの持続投与が多く,我が国では皮下ポートを用いて主に5FUが投与されている.投与法は様々であるが,総投与量は10~20gが大半で,治療期間は6~12カ月が多い.ほとんどの研究で残肝再発を有意に抑制しているが,生存期間の延長については結論が出ていない.有害事象としては特にFUDRで重篤なものがみられている.また,カテーテル,ポートを含めた技術的な問題による合併症や治療の中止も多くみられ,改善の必要がある.あくまで治癒切除後の補助療法であることを認識して合理的な投与法を選択するべきである.今後は肝外再発抑制効果が期待できる全身化学療法と肝動注を組み合わせたプロトコールを開発していく必要がある.

キーワード
大腸癌肝転移, 予防的肝動注化学療法

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