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日外会誌. 101(7): 503-508, 2000


特集

QOLから見た呼吸器外科

7.肺癌に対する気管・気管支形成術:肺葉温存効果からみた手術適応

東浦平成病院 外科

前田 昌純

I.内容要旨
肺癌に対する形成術の縮小手術は,消極的縮小で絶対適応のA1(機能的に形成術以外の肺切除術不能例への適応),積極的縮小のR1(肺門気管支局在早期癌例への適応),R3(絶対非根治例の対症療法)が区別された.各A1, R1, R3の頻度は,14.2%,16.8%,4.2%で,縮小手術例は形成例の35.2%を占めていた.
形成例の18.9%に気管分岐部形成術が行われたが,その内A1は3例,R1とR3は各1例,計2.6%に過ぎなかった.気管支形成術の内,A1, R1, R3の適応率は,各々12.6%,16.3%,3.7%,計32.6%となった.dose intensityをかけた導入化療で,形成術の適応率は7.8%から21.9%に増加した.その主な理由は,化療で気管支領域が縮小し葉間での吻合を要する術型(intBB)が増加したことによる(20.5%).
A1, R1, R3の5生率は,各々59.6%,64.9%,0%で,A1は肺葉温存による救命,R1とR3例は肺葉温存に有用な適応と考えられた.

キーワード
肺癌の気管・気管支形成術, 消極, 積極縮小手術, 導入化学療法, 気管分岐部形成術, interlobar 術型 (intBB)

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