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日外会誌. 101(6): 464-467, 2000


特集

下部直腸癌における機能温存手術の適応と限界

7.Artificial sphincterおよびNeosphincterによる肛門括約筋再建術

帝京大学 医学部第1外科

捨田利 外茂夫 , 小平 進

I.内容要旨
現在,肛門括約筋切除後は下腹壁への単孔式人工肛門(ストーマ)造設が一般的であるが,ストーマのQOLは低い.このため,社会的活動性が保たれている場合には肛門機能再建が望まれる.その目標は,ストーマが無く,“肛門部”から排便することが第1目標で,次の目標が排便に拘わることで総合的にQOLが低くならないようにすることである.
現在,肛門機能再建方法として,様々な方法がある.直接肛門内圧を形成する方法として,内圧を発生させるカフを肛門部に埋め込むもの,平滑筋を利用したものがある.骨格筋を利用したものでは,大殿筋弁の肛門部への移植に加え支配神経と陰部神経を吻合する方法や,肛門部に移植した薄筋弁を電気刺激して肛門のトーヌスを維持し,電気刺激を止めて排便するDynamic Graciloplastyが開発され,良好な臨床結果が報告されている.
様々な肛門機能再建法が臨床応用されているが,いづれも安全な手技であり,最後にはストーマの選択が残されている.現在,直腸癌に対する術式を選択する場合,括約筋温存ができないと,“マイルズ=ストーマ”と考えるのが標準的であるが,今後は,ストーマを括約筋切除後の多くの再建方法の一つとして位置づけ,術式を選択してゆくべきだと考えられる.

キーワード
肛門機能再建, 下部直腸癌, 肛門形成術, 薄筋弁, 電気刺激

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