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日外会誌. 101(5): 418-422, 2000


特集

肝門部胆管癌-診断と治療の進歩-

8.肝門部胆管癌に対する集学的治療

横浜市立大学 医学部第2外科

遠藤 格 , 神谷 紀之 , 増成 秀樹 , 藤井 義郎 , 田中 邦哉 , 渡会 伸治 , 嶋田 紘

I.内容要旨
手術手技の進歩により,肝門部胆管癌の治癒切除率は向上してきたが,術後再発率が依然高いため治療成績は思ったほど改善されていない.したがって手術単独ではなく,再発危険部位を標的とした補助療法の確立が必要である.
化学療法は,転移リンパ節や遠隔臓器転移再発を標的として全身投与が施行され,おもに局所の制御を狙って肝動注および胆管内投与が行われてきた.現時点で確立されたregimenはないが,5-FUが比較的多く使用されている.今後多施設共同研究による症例の集積が期待される.
術後照射は局所(剥離面および胆管断端)の制御を狙って施行されている.主に剥離面陽性に対しては広い照射野で体外照射が,胆管断端陽性に対しては腔内照射が施行されている.積極的に術中照射を行う報告もあるが,治癒切除例における有効性は確認されていない.教室の成績では治癒手術例では有意に生存率が改善(3年生存率;100% vs 28.6%)された.非治癒手術例でも生存率は改善されており有効な補助療法の一つと考えられる.
今後は,腫瘍の生物学的悪性度や放射線,化学療法に対する感受性を遺伝子レベルで解析することが必要である.治癒手術にむけた努力は忘れてはならないが,術前にresponder, non-responderが判定できるようになれば,危険な拡大手術を避けて安全な縮小手術によって切除し,癌遺残が疑われる部位を標的とした補助療法を行うといった新しいStrategyが確立されうると考えている.

キーワード
肝門部胆管癌, 集学的治療, 放射線療法, 生物学的悪性度, 再発形式

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