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日外会誌. 101(5): 393-398, 2000


特集

肝門部胆管癌-診断と治療の進歩-

3.肝門部胆管癌の3次元画像診断

1) 慶應義塾大学 医学部外科
2) 慶應義塾大学 医学部放射線診断科

島津 元秀1) , 若林 剛1) , 田辺 稔1) , 首村 智久1) , 橋本 統2) , 北島 政樹1)

I.内容要旨
肝門部胆管癌の外科治療において,肝切除を合併して広範囲に胆管を切除する術式は,より根治的で遠隔成績を向上させた.しかし更なる成績向上のためには,切除断端の癌浸潤を陰性とする治癒切除率の向上が不可欠である.水平方向の浸潤範囲を正確に診断するための最も基本となる画像診断は直接胆管造影である.しかし実際の造影にあたっては,様々な体位変換や管球の位置移動など,立体的解剖を良く理解するための工夫が必要であり,また,その読影には多くの知識と熟練を要する.一方,垂直方向の進展度診断すなわち近接する肝門部の血管浸潤の診断には血管造影が最も信頼性が高い.これらの検査において3Dスピン造影を行うことにより,複雑な肝門部胆管・血管の解剖学的理解とその浸潤範囲の診断が容易になった.3Dスピン造影の利点としては,1)体位変換することなく豊富な立体情報が得られる,2)肝門部胆管・血管の立体的な分岐形態が直感的に把握できる,3)画像の重なりがとれ,浸潤範囲の診断が容易になる,4)直接造影であるため元画像からの再構築が必要な他の3D画像に比べて空間分解能に優れている,などが挙げられる.
3Dスピン胆管・血管造影を現在までに胆道疾患29例に施行し,そのうち肝門部胆管癌切除13例の治癒切除率は85%と良好であった.本法は複雑な肝門部胆管・血管の立体解剖の理解を容易にし,肝門部胆管癌の進展度診断に必須な検査と考えられた.

キーワード
肝門部胆管癌, 3次元画像診断, 進展度診断, 3Dスピン胆管造影, 3Dスピン血管造影

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