[書誌情報] [全文PDF] (2948KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 101(3): 311-314, 2000


特集

未来のための今

IV 特別企画「Sentinel Node Navigation Surgery-がん低侵襲手術の新たなる展開-」
2.乳癌治療におけるSentinel Node Navigation Surgeryの意義

国立がんセンター東病院 乳腺外科

井本 滋

I.内容要旨
乳癌の外科治療の柱である腋窩リンパ節郭清は,組織学的リンパ節転移の有無を十分に診断できなかったため100年以上行われてきた.そもそも所属リンパ節の郭清とは,外科的局所コントロールを行うと同時にリンパ節転移状況の情報を得ることにある.しかし,全体の約60%を占めるリンパ節転移陰性乳癌におけるリンパ節郭清とは,生命予後への影響,郭清に伴う患側上肢の後遺症,および治療に伴う医療経済の面から見た時,その意義は少ない.90年代前半に始まった乳癌におけるsentinel node navigation surgeryは,リンパ節転移の有無を95%以上確実に診断する画期的な手術手技である.この方法の有用性が近い将来示され手技が広く普及すれば,21世紀の乳癌診療は治療の個別化に向けてさらなる発展を遂げるものと期待される.

キーワード
乳癌, 腋窩リンパ節郭清, リンパ管シンチグラフィ, sentinel lymph node, sentinel node navigation surgery


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。