[書誌情報] [全文PDF] (2644KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 101(2): 233-236, 2000


特集

膵癌取扱い規約をめぐって

10.分子生物学的悪性度からみた膵癌取扱い規約

東京大学 医学研究系消化器内科

小俣 政男 , 多田 稔

I.内容要旨
膵癌ではK-ras遺伝子は80%, p53遺伝子は約半数に遺伝子変異が存在することが明かとなった.その他p16,DPC4遺伝子に高頻度で遺伝子異常が認められた.細胞の不死化に関与するテロメラーゼ遺伝子異常によるテロメラーゼ活性が膵癌でも認められた.APC遺伝子変異,MSI(Microsatellite lnstability)は膵癌では少ない.このうち現在までのところ悪性度との関連というを視点でみると,K-ras遺伝子変異は関連性はうすい考えられる.p53遺伝子変異は予後不良と相関する可能性が指摘されており,分子生物学的悪性度からみた膵癌取扱い規約項目として導入できる可能性がある.その他の遺伝子異常に関しては臨床像との関連についてはまだ十分な報告がなく,現時点では明かではない.

キーワード
K-ras, p53, p16, DPC4, テロメラーゼ


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。