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日外会誌. 101(2): 228-232, 2000


特集

膵癌取扱い規約をめぐって

9.内科系からみた膵癌取扱い規約のあり方

千葉大学 医学部第1外科

税所 宏光 , 山口 武人

I.内容要旨
最近,放射線化学療法など切除不能膵癌にも期待される非外科的治療が種々開発されてきている.このような状況を背景として考えると,膵癌取扱い規約は病理所見,手術所見に画像所見を加え,非切除例にも枠を広げて臨床研究と治療の全般が包括的に取り扱えるように考慮することが必要であると思われる.そこで,切除例35例の術前ダイナミックCT所見を現行規約に準じて各評価項目ならびに進行度について評価し,病理所見による最終判定との整合性を検討してみた.血管侵襲を含めて膵周囲浸潤評価の各項目の診断精度はaccuracy 72~88%と良好であったが,リンパ節転移は約半数に見落としがあった.ダイナミックCTによる進行度診断は約2/3で一致し,約1/4の症例で過小評価となる.過大評価は少ない.過小評価の要因はリンパ節などの微小転移の見落としにあると思われるが,更に詳細に検討するとリンパ節転移とRP因子の間に高い相関が認められた.RP因子の優れた相関性は微小転移を推定する指標を求める上で,その手がかりとなる可能性が示唆される.画像診断の信頼性が更に明らかとなり,画像所見を基盤とした臨床的評価基準が膵癌取扱い規約に明記される日の近からんことを切望したい.

キーワード
膵癌, 腫瘍進行度, 画像診断, ダイナミック CT

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