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日外会誌. 101(2): 200-204, 2000


特集

膵癌取扱い規約をめぐって

4.膵癌取扱い規約の進行度分類・根治性評価の簡略化をめざして

東京女子医科大学附属消化器病センター 外科

羽鳥 隆 , 今泉 俊秀 , 原田 信比古 , 福田 晃 , 高崎 健

I.内容要旨
やや複雑になった膵癌取扱い規約における進行度と根治性に焦点を絞り,より簡便で扱い易く,予後とも相関する進行度分類,根治性評価をめざして,独自の試案を作成し,浸潤性膵管癌切除例461例を対象に検討した.進行度分類試案は,局所の進展因子を重視し,膵癌に特徴的な進展度因子で,外科的切除の適応や術式選択に関わる膵後方浸潤(rp),膵外神経叢浸潤(pl),リンパ節転移(n)の3因子を中心にし,また,リンパ節の群別をなくし,各因子の判定を+か一という単純なものにした.また,根治性評価の試案には,郭清度を入れず,腫瘍が取り除けたか遺残したかで根治度を判定し,根治度Aはstage Ⅰしかえられないようにした.その結果,stageと予後は相関し, stage Ⅰで5生率が約50%となった.また,根治度と予後もよく相関し,根治度Aの5生率は50%以上となり,今までの根治度Aとしての実感からかけ離れていた予後が,かなり現実的なものへと近づいた.したがって,予後との相関性を損なわずに進行度分類,根治性評価の簡略化は十分可能であると考えられたが,今回の試案はかなり大胆なものであり,今後,どの因子を選択すべきか,どこまで簡略化するかなど,さらなる検討が必要である.

キーワード
膵癌, 膵癌取扱い規約, 進行度分類, 根治性評価

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