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日外会誌. 101(2): 195-199, 2000


特集

膵癌取扱い規約をめぐって

3.膵癌取扱い規約についての新しい提案

名古屋大学 医学部第2外科

大島 健司 , 中尾 昭公

I.内容要旨
膵癌取扱い規約(第4版)はUICCのTNM分類に近似したものとなっており広く学会等に利用されているが,種々の問題点も指摘されている.そのひとつとして,膵周囲進展度Tの分類方法が複雑でわかりにくいものとなっていることが挙げられる.また,膵癌の手術および予後の両面から重要視されている膵外神経叢浸潤(PL)がT因子の分類に含まれておらず,進行度分類に関与していない点も問題と考えられる.
今回,膵周囲進展度Tの分類方法を簡略化することを目的に,自験例145例を対象として膵周囲浸潤の種類である7因子(S,RP,CH,DU,PV,A,PL)を(一)と(+)の2群に分けて予後評価を行った.まず,Kaplan-Meier法による単変量解析を行い,その結果をもとにステップワイズ線形回帰分析による多変量解析を行って,予後規定因子としてS,RP,PLの3因子を選択した.これら3因子を用いた膵周囲進展度Tの新しい分類法(T1 : 3因子とも(一),T2 : いずれかひとつだけ(+),T3 : 2因子以上が(+))を考案し,さらに進行度,根治度分類も試案した.
これらについて再度予後評価を行った結果,我々の考案したT因子別の累積生存曲線は第4版規約におけるT因子別のそれと非常に近似した曲線となり,また進行度,根治度分類も予後をよく反映しており,いずれも第4版規約と比較して遜色のない結果で,その有用性が示唆された.

キーワード
膵癌, 膵周囲進展度, 膵外神経叢浸潤

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