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日外会誌. 101(2): 192-194, 2000


特集

膵癌取扱い規約をめぐって

2.膵癌取扱い規約における病理組織学的問題

1) 順天堂大学 医学部病理学第1
2) Division of GI pathology/Liver, Department of Pathology, Johns Hopkins University School of Medicine 

信川 文誠1)2) , 須田 耕一1)

I.内容要旨
膵癌取扱い規約第4版が第3版と大きく変わった点は,膵管癌の組織分類が膵管内腫瘍と浸潤性膵管癌の2つに大別され,さらに別項目で異型過形成について言及していることである.
第4版には,いくつかの病理学的問題がある,すなわち,膵管内腫瘍には,浸潤性膵管癌の初期像と考えられる膵管内の低乳頭状あるいは平坦な癌腫が上皮内癌として加えられた.
微小浸潤性膵管内乳頭腺癌は,微小浸潤があるにもかかわらず浸潤性膵管癌ではなく,膵管内腫瘍に入れられている.また,微小浸潤性膵管内乳頭腺癌と膵管内乳頭腺癌に由来する浸潤癌をどこで分けるかが明確ではない.
膵管内乳頭腫瘍は.粘液と乳頭状の腫瘍増殖により,膵管が嚢胞状に拡張するため,本腫瘍の分枝型がしばしば誤って粘液性嚢胞腫瘍に分類されるが,膵管内乳頭腫瘍と粘液性嚢胞腫瘍とは別個の腫瘍であり,改訂されるべき事項である.

キーワード
膵管内乳頭腫瘍, 浸潤性膵管癌, 上皮内癌, 粘液産生膵腫瘍, 粘液性嚢胞腫瘍


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