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日外会誌. 100(12): 782-786, 1999


特集

大腸早期癌に対するminimally invasive surgeryの基礎と臨床

4. 大腸早期癌に対する内視鏡的ポリペクトミー

北里大学 医学部内科

勝又 伴栄 , 五十嵐 正広 , 小林 清典 , 佐田 美和 , 横山 薫 , 西元寺 克禮

I.内容要旨
当施設で経験した隆起型(I型)早期癌874例の中で,内視鏡的ポリペクトミー(ポリペクトミー)を施行した664例(76.0%)を対象として,形態別大きさ,深達度,治療後の転帰などについて検討した.また,初回に外科的治療が選択された89例と比較した.ポリペクトミー例の形態は有茎性(lp型)361例,亜有茎性(lsp型)255例,広基性(ls型)48例であり,sm癌の比率はそれぞれ16.1%,19.2%,22.9%であった.
一方,外科的治療例はlp型17例, Isp型29例, Is型43例で,sm癌の比率はそれぞれ41.2%,62.1%,58.1%とポリペクトミー例に比べてsm癌が多く,また腫瘍径も大きいものが多かった.
早期癌の形態別sm浸潤度とリンパ節転移率の相関を追加腸切除を含む外科根治手術例(129例)で検討した.粘膜筋板から1,000μm未満のsm浅層浸潤癌21例にはリンパ節転移は認めなかった.sm深層浸潤癌(1,000μm以上)では,隆起型癌63例中5例(7.9%),表面型癌45例中11例(24.5%)のリンパ節転移がみられ,隆起型癌で有意に転移率が低かった.
ポリペクトミーされた早期癌の転帰をみると,m癌555例中2例(0.4%)の局所再発があり,sm癌116例中23例(19.8%)の追加腸切除と1例(0.9%)の局所再発が認められた.
隆起型早期癌に対するポリペクトミーは,低侵襲性治療法として有用であるが,適応の選択を正確に行い,追加腸切除や遺残・再発を減少させるために,さらなる手技の向上が必要と思われる.

キーワード
大腸早期癌, 内視鏡的ポリペクトミー, sm癌の取り扱い, ポリペクトミー後の経過


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