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日外会誌. 100(11): 756-760, 1999


総説

医事訴訟における鑑定

慶應義塾大学 医学部外科・弁護士

古川 俊治

I.内容要旨
医事訴訟が急増する中で,適正な外科学を可及的に判決に反映させるため,鑑定は重要な役割をもつ.広義にいう医事訴訟の鑑定には,裁判所からの依頼により正式な鑑定人となる場合と,一方当事者からの依頼により意見書を提出する場合の2種類が区別される.何れの場合でも,素人であるが論理性に優れている裁判官や弁護士に分かりやすく書くことが必要であるが,特に,疾患の概要と問題の事案の位置付けを明らかにする,因果関係を詳細に説明する,根拠を摘示しながら論じる,法律的判断はせず医学的根拠を書く,事後的に診療当時の行為を評価していることを意識する,などの点に注意すべきである.医事訴訟において,鑑定人の引き受け手が見つからないことが裁判長期化の大きな原因となっているが,国民の医療不信が募る現在,医事訴訟の短期化は,患者・医師双方の負担を軽減するための急務であり,医師の側からも積極的に司法と協力していくことが要請される.

キーワード
医事訴訟, 鑑定, 外科


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