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日外会誌. 100(11): 749-755, 1999


特集

肺癌治療の最近の進歩

11. 肺癌に対する遺伝子治療の現況と問題点

岡山大学 医学部第1外科

藤原 俊義 , 片岡 正文 , 川真田 修 , 田中 紀章

I.内容要旨
分子生物学のここ10年来の進歩は,癌が遺伝子の異常の蓄積により発生する「遺伝子病」であることを明らかにしてきた.発癌のメカニズムが分からないままに治療法を模索していた時代と異なり,最近では理論に基づいた治療戦略が考えられるようになってきている.原因遺伝子を標的とした「遺伝子治療」はその一つであり,今後の研究開発により画期的な治療法となる可能性がある.しかし,発癌のプロセスに関与する遺伝子の多様性,および生体内での遺伝子導入技術の未熟さから,臨床応用におけるさまざまな限界や問題点が明らかになってきている.米国MDアンダーソン癌センターおよび岡山大学医学部附属病院で進んでいる非小細胞肺癌を対象としたp53遺伝子治療の臨床試験の現状を解説し,安全性や臨床効果についての情報を紹介するとともにその問題点に言及する.

キーワード
p53遺伝子, アデノウイルスベクター, 遺伝子治療, 臨床試験, 非小細胞肺癌

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