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日外会誌. 100(11): 735-738, 1999


特集

肺癌治療の最近の進歩

8. 中枢気道病変に対するステント療法

1) 京都大学 医学部呼吸器外科
2) 関西電力病院 呼吸器科

板東 徹1) , 水野 浩2) , 寺田 泰二1) , 和田 洋巳1) , 人見 滋樹1)

I.内容要旨
中枢気道狭窄は様々の良性・悪性疾患が原因となり得るが,気道狭窄による呼吸困難は,しばしば気道ステント療法により劇的に改善する.現在気道に用いられるステントはシリコン製と金属製に大別される.シリコン製ステントは長年臨床使用されており安全性が確認されており,また留置後の位置の変更および抜去が比較的容易であるという利点がある反面,拡張性が弱く,喀痰による内腔狭窄・閉塞の危険がある.金属製ステントの利点は,局所麻酔下で挿入可能であり,気道の繊毛運動を妨げないので喀痰貯留が少ないこと,ステント壁が気道開口部にあたっても換気可能であること,柔軟性が高いこと,などがある.一方,欠点としてはステント壁の隙間から腫瘍・肉芽組織のステント内腔への増生によって再狭窄が起こりうること,一度留置したステントの抜去が困難であること,比較的歴史が浅いため,特に良性疾患に使用した場合の長期の安全性が十分に確認されていないこと,などがある.中枢気道狭窄に対する姑息的治療としてのステント療法は非常に有効であり,近年数多くの新しいステントが開発されてきた.しかし本邦では多くのステントが気道用として薬事承認されていないため,胆道用,食道用,血管用のものを流用しているのが現状である.

キーワード
気道狭窄, ステント, ニチノール

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