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日外会誌. 100(11): 712-717, 1999


特集

肺癌治療の最近の進歩

4. 蛍光内視鏡による肺門部早期肺癌の検出

千葉大学 医学部肺癌研究施設外科

渋谷 潔 , 藤澤 武彦 , 星野 英久 , 馬場 雅行 , 斎藤 幸雄 , 飯笹 俊彦 , 関根 康雄 , 鈴木 実 , 尾辻 端人 , 飯田 智彦 , 芳賀 由紀子 , 山地 治子

I.内容要旨
蛍光気管支内視鏡の発展により上皮内癌といった深達度の浅い肺門部早期肺癌やその一部は前癌性病変と考えられている異型扁平上皮化生の局在診断が可能になった.肺門部早期肺癌においては,多発癌の発生に関する問題や重度喫煙者が多く肺機能低下例が少なくないなど治療方針の選択が難しい症例も認められる.もし上皮内癌や微小浸潤癌のような深達度の浅い癌を早期に発見できれば手術以外の根治療法としてのよりminimal invasiveな内視鏡的レーザー療法などの選択の可能性も考えられる.肺門部扁平上皮癌の組織発生については,特に重度喫煙者において扁平上皮化生→異型扁平上皮化生→上皮内癌→浸潤癌へ移行する多段階発癌が想定されており,蛍光気管支内視鏡により局在化された異型扁平上皮化生を有する症例に対する慎重な経過観察と禁煙指導,更には化学予防薬の投与といった肺癌に対する予防医学の確立が期待される.

キーワード
蛍光気管支内視鏡, 肺門部早期肺癌, 上皮内癌, 異型扁平上皮化生, 多階段発癌


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