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日外会誌. 100(10): 656-662, 1999


特集

ショックを見直す

5.ショックと細胞死(apoptosisとnecrosis)

札幌医科大学 外科学第1講座

浦 英樹 , 平田 公一 , 桂巻 正

I.内容要旨
アポトーシスの発見により細胞死の概念が根底から見直されつつある.ショックによって惹起される細胞死もその例外でない.すなわち,虚血と低酸素はネクローシスを生じる最大要因として長い間理解されてきたが,最近,低酸素状態によってもアポトーシスが誘導されることが明らかにされ,その分子機構の解明に向けて活発な研究が進行中である.現在,アポトーシスもネクローシスもある段階までは共通の“死の情報伝達経路”を経るものと推測されており,この両者を振り分けるのは細胞内ATP濃度の減少速度によるとの考えが主流をなしつつある.また,ミトコンドリアはATP産生を営むオルガネラであるばかりでなく,死の情報刺激に対してアポトーシスを誘導するか否かを最終的に決定する重要な役割も果たしていることが明らかにされ,今後の研究の動向が注目される.

キーワード
アポトーシス, ネクローシス, 低酸素, ミトコンドリア, 細胞内ATP濃度


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