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日外会誌. 100(10): 648-651, 1999


特集

ショックを見直す

3.ショックに対する新しいモニタリング

1) 鹿児島大学医学部附属病院 集中治療部
2) 鹿児島大学 医学部麻酔・蘇生学教室

垣花 泰之1) , 吉村 望2)

I.内容要旨
ショック時には灌流低下により血液中の酸素が組織内へ適切に運搬されない病態が発生する.我々は,その刻々変化する病態を迅速かつ正確に把握し適切な治療を行う必要がある.ショック時の治療の目標は,各臓器,細胞への適切な酸素供給であるため,心拍出量や酸素運搬量をモニタリングし全身的な酸素供給状態を評価することが重要である.一方,混合静脈血酸素飽和度は酸素供給量と消費量の両因子で規定されるため,全身からみた酸素需給バランスの指標として有用である.しかし,ショック時には血液の再配分が起こるため,全身のモニタリングだけでは十分とはいえず,選択的に各臓器ごとの酸素需給バランスを評価できるモニタリング(内頸静脈血酸素飽和度や肝静脈血酸素飽和度測定など)も必要となる.消化管内pH(pHi)は,非侵襲的であり消化器系合併症の予防のみならず,重症患者の予後を予測する手段となりうるため,集中治療領域においてさらに普及することが予測される,近赤外分光法(NIRS)は,生体内に存在する色素物質(ヘモグロビン,チトクロームオキシダーゼ)を検出し,組織内の酸素化状態を無侵襲的にモニタリングできると伴に,チトクロームオキシダーゼの酸化状態から,組織内のエネルギー状態をも評価できる可能性もあり今後の発展に期待したい.ショック時には以上のような全身的な酸素代謝と局所的な酸素代謝モニタリングから得られた情報を,相互の関連も含めて系統的な評価を行うと伴に,患者管理ヘフィードバックさせていくことが重要である.

キーワード
ショック, モニタリング, 組織酸素代謝, 酸素需給バランス


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