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日外会誌. 100(9): 551-556, 1999


特集

形成外科・最近のトピックス

8.リンパ浮腫に対するリンパ管細静脈吻合術

川崎医科大学 形成外科

光嶋 勲 , 稲川 喜一 , 衛藤 企一郎 , 森口 隆彦

I.内容要旨
リンパ管細静脈吻合術は,リンパ管を真皮直下または脂肪層浅層の細静脈に吻合し,リンパ液を静脈系に還流させ浮腫の軽減を図るものである、手術施行前に半年から1年間の徹底した持続圧迫とマッサージによる保存的治療を行なう.この治療法で改善が見られなかった症例に対して本法が適応となる.
上肢のリンパ浮腫27名の治療を行なった.12名に外来通院にて圧迫を主とする保存療法をおこなった.これらの患者の浮腫は発生後平均3.5年経過しており,術前の前腕(肘から10cm遠位部)の平均過剰周径6.4cmであったが平均10.6カ月の保存療法で平均0.8cm(術前の過剰周径の11.7%)減少した.4cm以上の著明な周径減少のみられた例はなかった.一方,これまでの他施設または当科での圧迫療法が無効な12名に入院したうえで手術を行なった.これらの患者の術前の過剰周径は平均8.9cmで,浮腫発生後,平均8.2年経過していた.術後平均22年の経過にて平均4.1cm(術前の47.3%)の減少が得られた.4cm以上の周径減少がみられたものは7例(58.3%)であった.
下肢のリンパ浮腫は35名の片側性または両側性リンパ浮腫患者の治療を行なった.12名に外来通院にて圧迫を主とする保存療法をおこなった.これらの患者の浮腫は発生後平均5.2年経過しており,術前の下腿(膝から10cm遠位部)の平均過剰周径7.1cmであったが,平均1.5年の保存療法で平均0.6cm減少した.4cm以上著明に周径が減少した例は2例(16.7%)であった.一方,これまでの他施設または当科での圧迫療法が無効な16名に入院したうえで手術を行なった.これらの患者の術前の過剰周径は平均9.8cmで発生後,平均8.9年経過していた.術後平均3.3年の経過にて平均2.7cmの減少が得られた.4cm以上の周径減少がみられたのは8例(50%)であった.

キーワード
リンパ浮腫, リンパ管静脈吻合術, マイクロサージャリー, 乳癌, 子宮癌

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