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日外会誌. 100(9): 534-538, 1999


特集

形成外科・最近のトピックス

4.人工真皮

京都大学大学院 医学研究科形成外科学

鈴木 茂彦

I.内容要旨
著者らはYannasらによって報告された材料を改良し,抗原性が少なく保管,使用の簡便な人工真皮(ペルナック)を開発した.現在は市販され広く使用されるようになっている.人工真皮を全層皮膚欠損創に貼付すると,母床や創縁から内層のコラーゲンスポンジ内に線維芽細胞や毛細血管が侵入し増生する.やがてスポンジの空隙内で増生した線維芽細胞から新しくコラーゲン繊維が作られ,元のコラーゲンスポンジは次第に分解吸収されていき,2,3週間で自然に真皮組織様の肉芽組織に置き換わる.この時点でシリコーンシートを取り除き真皮様肉芽組織の上に薄目の分層植皮を行うが,植皮の生着性はきわめてよく,術後の収縮も少ない.著者らは前駆材料も含め,44症例57部位に人工真皮を使用したが,二次植皮は全例ほぼ完全に生着し,機能的整容的に優れた結果が得られた.人工真皮の使用は二期的手術を要する欠点があるものの,一期的植皮では良好な生着が得にくい,骨や筋肉などが一部露出した深い皮膚欠損創に非常に有用な治療方法と思われる.その他,二期的植皮に薄い分層植皮を用いても収縮が少なく採皮部の犠牲が最小限ですむことから,巨大色素性母斑切除後などの広範囲皮膚欠損創にも有用である.

キーワード
人工皮膚, 人工真皮, 代用皮膚, 皮膚欠損創, 植皮


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