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日外会誌. 100(7): 449-454, 1999


特集

救急医療における最近の進歩

8.救急医学とEBM

名古屋大学 医学部救急医学

高橋 英夫 , 武澤 純 , 福岡 敏雄 , 真弓 俊彦

I.内容要旨
近年救急医療の領域でも権威者の意見・経験・直感・病態生理に基づいた治療を主体とした医療から,臨床試験により科学的(臨床疫学的)に証明された証拠(evidence)に基づき診断・治療を行っていこうとするEBM(Evidence-Based Medicine)が,医療改革の足音の高まりとともに広がりつつある.本稿では救急医療の現場で,生存率を改善するとされる治療法,即ちCPRに於けるhigh dose epinephrine, ACD-CPR(Active compression and decompression CPR)ショックパンツ,sepsis・ADRSに対するCRRT(Continuous Renal Replacement Therapy)についてEBMの手法を用いて,evidenceの有無を検討した.
High dose epinephrineでは,レベルIIのRCTが6つ検索されたが,メタアナリシスの結果有効性を示すevidenceは得られなかった.逆に長期予後を悪化させる可能性を示唆するRCTが存在した. ACD-CPRに関してはレベルIIのRCTが7つ検索され,
今回EBMに則った再評価により,いずれのの治療法についてもその臨床的有用性を示すevidenceが不足していること判明した.但しこれら欧米のデータを基に,日本の救急医療体制の中での有効性について結論を出すのは時期尚早であり,わが国で今後,合科学的な救急医療を行うためには,我々救急医療に携るものがevidenceを作っていく努力が強く求められる.

キーワード
EBM, RCT, CPR, ショックパンツ, CRRT

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