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日外会誌. 100(6): 403-408, 1999


特集

最近の発生学研究が新生児臨床の進歩にもたらしたもの

9.停留精巣(ラットモデルを用いた発生機序の研究)

九州大学 医学部小児外科

生野 猛 , 水田 祥代

I.内容要旨
胎生7~8週頃にY染色体短腕に発現した精巣決定因子が未分化性腺を精巣に誘導し,精巣は2つのstepを経て陰嚢底に達する.精巣下降の第1相は腹腔内の移動であり精巣は胎生10~15週の間に尿生殖隆起から鼠径部まで下降し,第2相では胎生26~38週の間に鼠径管内を通過し陰嚢底まで下降する.この下降過程のいずれが障害されても停留精巣となる.最近の研究では第1相は精巣の真の下降ではなく腎臓や他の後腹膜臓器の上昇に伴う相対的,受動的な下降と考えられており,第2相は精巣下降に先行して精巣導帯が鼠径部から陰嚢底まで遊走して腹膜鞘状突起を形成し,その中を精巣が下降する能動的な下降とされている.ホルモン的には第1相ではミューラー管発育抑制因子(MüIIerian inhibiting substance;MIS)が精巣導帯の腫大を促し,第2相ではアンドロゲンが精巣導帯を鼠径部から陰嚢まで誘導しそれぞれ精巣下降をコントロールしているがホルモン異常以外にも種々の解剖学的異常が停留精巣を引き起こす.

キーワード
停留精巣, ラットモデル, 腹腔内精巣下降, 鼠径陰囊部精巣下降


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