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日外会誌. 100(5): 352-356, 1999


特集

腹部臓器の虚血-病態の基礎と臨床-

7.血管外科からみた腸管虚血

町立浜岡総合病院 外科

小谷野 憲一 , 阪口 周吉

I.内容要旨
近年の高齢化社会の到来により腸管虚血の発症頻度は確実に高くなってきており,日常の臨床で常に念頭に置くべき消化器疾患の一つとなりつつある.本症は迅速な対応を要するものでありながら早期に診断し治療するのが難しく,手遅れとなることが珍しくない.本症を少しでも疑ったら躊躇することなく直ちに血管造影を行うべきで,この決断なしに患者の救命はできない.治療は近年盛んになりつつある血管内治療を積極的に取り入れ,これに外科手術を適宜組み合わせて行う.治療の目的はあくまで腸管の正常な血流の再開であり,腸切除は結果としてやむを得ない場合に施行される。

キーワード
腸管虚血, 腸間膜動脈閉塞症, 血行再建術, 血管内治療, 血栓溶解療法

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