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日外会誌. 100(4): 294-298, 1999


特集

外科学 次代への展開

9.ネットワークロボティクスの現状と将来

東京大学大学院 工学系研究科

舘 暲

I.内容要旨
バーチャルリアリティは現実のエッセンスをもった人工環境を生成するものであり,ロボティクス特にテレイグジスタンスとは表裏一体をなす.バーチャルリアリティは,アミューズメントの分野での利用が先行したが,医療分野にみられるように次第に本来の目的である実問題への適用が指向され始めている.そのような中,ネットワークとロボティクスを融合させ真の意味での人間中心のテレイグジスタンス社会を目指すアールキューブ構想が策定されている.アールキューブ(Real-time Remote Robotics:実時間遠隔制御ロボット技術)はネットワーク環境を利用したパーソナルなテレイグジスタンス社会をめざした研究開発構想とそのための基礎研究と位置づけられる.そのアールキューブの要ともいうべき「人間協調共存型ロボット」の研究開発が通産省の産業科学技術プロジェクトとして1998年から開始された.人間型のロボットとそれを操作するためのコックピットを開発し,それらを一種のプラットフォームとして種々の応用に利用可能とする研究開発である.情報のみが行き交う現在のネットワークを作業の伴うものとする試みともいえる.本論文ではテレイグジスタンス,アールキューブおよび人間型ロボットの現状と将来について概観する.

キーワード
テレイグジスタンス, バーチャルリアリティ, 人工現実感, アールキューブ, 人間型ロボット

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