[書誌情報] [全文PDF] (1719KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 100(2): 195-199, 1999


特集

消化器癌術後再発例への対策と成績

3.胆道癌術後再発例に対する対策と成績

1) 名古屋大学 医学部第1外科
2) 春日井市民病院 外科
3) 東海病院 外科
4) 安城更生病院 外科

上坂 克彦1) , 神谷 順一1) , 梛野 正人1) , 湯浅 典博1) , 佐野 力1) , 小田 高司1) , 金井 道夫2) , 早川 直和3) , 山本 英夫3) , 横井 俊平4) , 二村 雄次1)

I.内容要旨
胆道癌術後再発例に対する当科の治療方針と成績について,肝門部胆管癌を中心に述べた.1998年11月までに当科で根治切除を行った肝門部胆管癌は133例で,うち73例に再発が確認された(再発率54.9%).再発部位は,腹膜(21例),肝(16例),下大静脈前面から十二指腸後面の局所(15例),肝門部局所(11例),リンパ節(9例),骨(6例),経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)瘻孔部(5例),その他の順であった.
当科では再発巣に対しても,可能ならば切除することを第一選択としており,これまでに9例に対してのべ15回の再発巣切除を行った.その内訳は,PTBD瘻孔部および胸腹壁(4例),リンパ節(2例),肝(1例),胆管空腸吻合部(1例),十二指腸切除部断端(1例)であった.3例の在院死を認めたが,耐術した症例は,再切除後平均1年4カ月(11カ月~1年8カ月)生存した.
切除できない再発症例では,閉塞性黄疸に対するPTBD,十二指腸狭窄に対する胃空腸吻合術がQuality of Life(QOL)の改善に有効であった.さらに全身状態が許せば,全身的または経動脈的に5FUを中心とする抗癌剤投与を行ったが,その効果は一定していなかった.骨転移や肝門部局所再発巣に対しては放射線治療を行い,時に著効を認めた症例があった.

キーワード
胆道癌, 肝門部胆管癌, 再発


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。