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日外会誌. 99(12): 837-841, 1998


特集

開心術における低侵襲的アプローチ(MICS)の現況と展望

7.小児における胸骨小切開下心内修復術
-縮小胸骨小切開による小児期開心術-

和歌山県立医科大学 第1外科

藤原 慶一 , 内藤 泰顯 , 駒井 宏好

I.内容要旨
開心術において胸骨正中切開が標準アプローチとして行われてきた.しかし,皮膚切開創が大きいため美容上問題であり,また,胸骨を完全に切離するため術後の胸骨離開を起こすこともある.そこで,われわれは皮膚切開を乳輪線の下部にとどめ胸骨体部のみの切開にとどめる縮小胸骨小切開法(lower mid-line skin incision and minimal sternotomy)を考案し,1993年2月から乳児から小児例の開心術78例(年齢:1カ月から13歳,中間値:2歳7カ月,体重:2.4kgから43kg,中間値:11.5kg)に対しに行った.対象疾患として経右房で行うことが可能なものだけでなく,経肺動脈で行う肺動脈弁下部心室中隔欠損まで本アプローチで行うことが可能であった.本アプローチで可能と判断した症例中標準胸骨正中切開への移行例を認めず,また,術中に大動静脈の損傷や空気塞栓などの合併症や術後創部感染や胸骨離開を1例も認めなかった.本アプローチは特別な器具を必要とせず,必要に応じて標準胸骨正中切開に移行することが可能で,また,他の小切開法とは異なり皮膚切開が乳輪線より下にとどまるため胸元の大きな衣服でも皮膚切開創が露出せず,乳児や小児例における開心術を行う上で美容上優れたアプローチであると思われる.

キーワード
縮小胸骨切開法, Minimally invasive cardiac surgery (MICS), 小児開心術


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