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日外会誌. 99(11): 749-753, 1998


特集

臓器移植の今後の展望

3.心臓移植

大阪大学医学部附属バイオメディカル教育研究センター 臓器制御部門・臓器移植学研究部

白倉 良太 , 宮川 周士

I.内容要旨
心臓移植が初めて行われて31年になる現在,世界では心不全の一治療法として定着し,成績も安定し,経済効率的にもQOLの面からも優れた治療法であることが実証されている.最大の問題は移植を希望する人に比べて臓器提供が絶対的に不足している点である.これを解決するには,原疾患の予防,潜在的に埋もれている提供する意思の発掘等が考えられるが,後者については今後医療が発達すればするほど脳死者の数が減少することはあっても増加する可能性はないので,努力目標ではあるが根本的な解決法ではない.人工臓器の開発を待つしかないが,もう一つの可能性として異種移植がある.異種移植については約10年前から実用化をめざした研究が始まったところである.以上の点を展望として概説する.

キーワード
心臓移植, 国及び地方公共団体の責務, トランスジェニックブタ, 補体制御因子, α-galactosyl epitope

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