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日外会誌. 99(10): 706-710, 1998


特集

胆嚢癌治療-最近の動向

4.ss胆嚢癌に対する標準術式

徳島大学 医学部第1外科

田代 征記

I.内容要旨
著者らが行った全国アンケートや自験例の術後成績は癌の深達度に左右され,m, mpまでの癌の成績は良好であったが,ss癌を越えると進展様式も多彩となり,単純胆摘や肝床切除+D2リンパ節郭清だけでは術後成績は悪かった.しかし,ss癌は進展度に応じた適切な術式が選択されれば長期生存の可能性が大きく,外科医にとってやりがいのある症例である.ss癌に対する適切な根治術は次のように施行される.術中超音波検査(IOUS)でss胆嚢癌, Hinf0と診断されたら,肝床切除+胆管切除+リンパ節郭清D2+ex(大動脈周囲リンパ節郭清16a2 inter,16b1 inter pre)を施行する.IOUSでHinf1-Hinf2と診断した場合にはS4a5の肝区域切除+胆管切除+リンパ節郭清D2+exを施行する.
肝門部浸潤例ではS4上部温存拡大肝右葉切除を施行する.術中リンパ節転移の状況から12b2,13a,8に転移があり,転移リンパ節からの膵浸潤,十二指腸浸潤があれば膵頭十二指腸切除に切り替える.
このように適切な根治術行われたss胆嚢癌の5年生存率は89.9%と良好であった.
個々の症例の進展様式により術式は多少違いはあるが,基本的には多数のss胆嚢癌の標準術式は肝床切除あるいはS4a5肝区域切除+胆管切除+リンパ節郭清D2+exである.

キーワード
ss 胆嚢癌, 標準術式, 肝床切除, S4a5肝区域切除

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