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日外会誌. 99(10): 700-705, 1998


特集

胆嚢癌治療-最近の動向

3.胆嚢癌の進展度診断と治療方針

1) 久留米大学 医学部外科
2) 聖マリア学院短期大学 

木下 壽文1) , 中山 和道2) , 今山 裕康1) , 奥田 康司1)

I.内容要旨
胆嚢癌の術中USにおける進展度診断と組織学的進展様式からみた治療方針について述べた.術中USは胆嚢癌の壁深達度および肝内直接浸潤の診断に有用である.我々は胆嚢癌のUSによる層構造に注目し,層の識別,層エコーの不均一,層の連続性から壁深達度診断を行っている.m,mp癌とss癌との鑑別およびss癌とse,si癌との鑑別は可能であるが, m癌とmp癌との鑑別は術中USのみならず他の診断法にても困難である.組織学的進展状況をみるとm癌ではリンパ節転移や脈管・神経浸潤はみられないが,mp癌では少数ながら脈管浸潤がみられる.早期癌であるm,mp癌に対する根治術式としては胆嚢全層切除術や肝床切除術を行い,さらに第2群リンパ節郭清を行うべきである.ss癌以上の進行癌になるとリンパ節転移,脈管・神経浸潤が高率となることから徹底したリンパ節郭清が必要である.ss癌に対する根治術式としては胆摘術+肝床切除術+胆管切除術+第2群リンパ節郭清と考えているが,第2群リンパ節転移陽性であれば膵頭十二指腸切除術を併施する.se,si癌に対する基本術式はないが術式の選択には根治性と共に安全性を考慮した手術を行うべきであり,術後合併症や予後からみると,現時点ではいたずらに切除範囲を拡大することなく,進展様式に見合ったバランスのとれた合理的な術式を選択することが重要である.

キーワード
胆嚢癌, 進展度診断, 術中超音波検査, 治療方針

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