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日外会誌. 99(9): 547-551, 1998


特集

噴門部癌 : 診断と治療の進歩

3.噴門部の病理

1) (財) 東京都老人総合研究所 臨床病理部門
2) 東京大学医学部付属病院 胃・食道外科
3) 埼玉県立がんセンター病院 腹部外科
4) 日本医科大学 第1外科

田久保 海誉1)4) , 真船 健一2) , 田中 洋一3) , 笹島 耕二4)

I.内容要旨
食道下端と胃上端の各2cmを噴門部として,その組織像を明らかにし,この領域で報告されている病変,特に比較的最近に記載された病変について記述した.日本人の切除胃や切除食道における管状の食道から嚢状の胃にかけて,急激に狭くなる部分を食道胃接合部として,扁平・円柱両上皮の移行部との距離を計測してみると,両者の距離は最長10mmで,平均3mmであった.噴門腺は胃粘膜から連続的に最長12mmの距離まで,食道の扁平上皮下の粘膜固有層に存在し,噴門部を食道胃接合部の上下2cmとすることの妥当性を述べた.噴門部に高頻度に観察される膵化生,平滑筋腫,逆流性食道炎およびいわゆるshort-segment Barrett食道に関する病理所見を示した.膵化生は50%以上に存在し,平滑筋腫は約10%で観察され,平滑筋腫とgastrointestinal stromal tulnorとの関係についても言及した.2~3cm以下の長さのBarrett食道に関して生検標本で組織診断できるかについても検討し,約10%の症例では可能であると思われた.また,長いBarrett食道との問に,病理所見に大きな差のないことにもふれた.最後に,この領域の病変の学会報告や論文投稿時に有用と思われる英文と和文の教科書的著書を紹介した.

キーワード
噴門部, 膵化生, gastrointestinal stromal tumor, Short-segment Barrett 食道


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