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日外会誌. 99(9): 542-546, 1998


特集

噴門部癌 診断と治療の進歩

2.噴門部癌は増加しているか

慶應義塾大学 医学部外科

小澤 壯治 , 安藤 暢敏 , 北川 雄光 , 北島 政樹

I.内容要旨
噴門部癌は「食道癌取扱い規約(第8版)」と「胃癌取扱い規約(改訂第12版)」によれば食道胃接合部癌や食道胃境界部領域癌に相当し,占居部位がEC, E=C,CEである癌腫と考えられる.本邦における噴門部癌の罹患率の変動について欧米の報告を合わせて検討した.食道癌の罹患率は1975~1984年において若干減少しているが,同時期におけるE=C癌の食道癌における頻度も大きく減少していることから,この時期のE=C癌罹患率も減少していると考えられる.またCE癌の胃癌における頻度は大きな変動を示さないが,同時期における胃癌の罹患率が大きく減少しているので,E=C癌と同様にCE癌の罹患率は減少していると考えられる.またE=C癌とCE癌の罹患率がそれぞれ減少傾向にあることは,それらにより構成される噴門部癌の罹患率も減少傾向にあると推測される.1955~1996年における年齢調整死亡率が減少していることから,その期間の食道癌,胃癌の罹患率も減少していることが予想され,1975~1984年の検討と同様に1984年以後も噴門部癌の罹患率は減少していると推測される.以上より本邦における噴門部癌の罹患率は減少していると結論付けられる.欧米における噴門部癌の罹患率の推移は報告によりばらつきがあり,この一部はICD-O systemによる記述が原因と考えられる.また罹患率が上昇する理由として喫煙・飲酒,H.P.感染,食道裂孔ヘルニアなどの関与が考えられている.

キーワード
噴門部癌, ICD-O Code, 罹患率

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